開始時刻に間に合うギリギリの時間に起きたので、朝食も食べずに会場へ。「インターネットの匿名性によるDeindividuationとオンライン・コミュニティの秩序」、「ヴァーチャルチームにおける自動検索を用いた情報システム」ときて「インターネット掲示板での意見招請の可能性に関する定量的分析」。ちくり裏事情板にある某企業のスレッドと、その企業の労使状況を比較した研究。某企業は2000年からちく裏板にスレッドがあり……からはじまって、もう特定できそうなほどその企業の情報が口頭で伝えられた。松村先生の論文に倣ってS(Speed: 平均投稿数)、C(Contents: 平均文字列長)、I(Interaction: 平均返信数)からスレッドの状態を計測、この状態のときはリアルではこうだったんですよーという話。
近所のお店でご飯を食べて午後の部。「GoogleAPIを用いた地域の消費者ニーズ発信システムの提案」を聞いたあとは、「ブログ言及数と消費者行動との関係性の調査」。実況板研究と似たような点があるように思えた。ブログの言及数と本の売り上げの相関をとると、一番相関が高いのが児童書で、相関が低いのがコミックなのらしい。コミックの発行部数は平均的に他のジャンルより多そうなので、そこが利いているのかも? あと他のジャンルの本と違いまとめて買いそうなので、いちいちブログに書いてられない、みたいな。スパム判定でタイトルを列挙しただけのエントリもはじいているみたいなので、それでさらに――かも。感情表現を用いた分析は面白そうだ。これは我々のでもやってみよう。テレビ視聴率とブログ言及数の相関係数が0.895というのは、社会科学的には高すぎる希ガス。アイドルにおけるモー娘や都知事選におけるドクター中松などの外れ値の処理の話。外山恒一も対象にしていたら分析がいよいよカオスになってしまいますね。この人は発表が上手く、パワポの演出など参考になるところが多かった。
次は「インターネット掲示板と株式指標の関係に関する研究」。私が2年前にやっていたことと極めて近いので興味津々。みんなの株式や株のネタ帳、さらにYahoo!掲示板株式などいろんな株式CMSサイトがあり、それらを舞台にした風説事件がたびたび発生している。特に2007年の川上塗料は掲示板での風説の流布で初めて告発されるなど、社会的に……という前口上はさておき、リターン・ボラティリティ・出来高と投稿量との単相関分析をソフトバクとソニーの2005年のデータを使って行った。なぜこの2社かというと、前者は2005年の投稿数1位で、後者は投稿数9位ながらも有名なB2C企業であるから。ソフトバンクについては投稿量と翌日のリターンに有意な相関があり、投稿量と翌日の出来高は両銘柄とも有意な相関があった。分析した2005年は上げ相場だったが、下げ相場の2006年についてもやってみたい。ソニーは超過リターンの相関がマイナスになったので、アンチ投稿が多いかも? などなど。会場からは「インパクトは量だけではない。質が大切。感情表現との兼ね合いも見てみたら」などという声も。それは確かにその通りで、数だけ見ててもよく分からないところがある。ネガティブなことを言っているのかポジティブなことを言っているのかによって投稿量の意味するところは変わるし、ちょうど前回の研究中にYahoo!掲示板の仕様が変わって「強く売りたい」「買いたい」などの「投稿時の気持ち」も表示されるようになった。ポジネガ判別が辞書の整備などでコストだとしたら、この今の気持ちを指標にするだけでも違ってくるかもしれない。