見かけとマークアップの無関係さ

フォントいじりサイトみたいな雰囲気の画面作りを Strict な HTML でどう表現するか。まぁ普通 Valid で Strict なマークアップをしたら、大抵はフォントいじり系界隈のような奇抜な画面にはならないのだが、無理をすればできる。一つは私が大昔やったような兄弟セレクタでなんとかする方法。もう一つが哀さんのように class で何とかする方法だ。

ただ、私が昔やってみた例のアレにはかなり問題がある。あのときは元になった文章中の引用文っぽい箇所の文字がたまたま大きくなっていたから blockquote の文字サイズを大きくしたが、他の文章がいつもそうとは限らない。あのときは元になった文章中の語定義っぽい文字列にたまたま下線が引いてあったから dfn に下線をつけた。でも他の文章がいつもそうとは以下略。つまり、あの CSS はあの HTML にしか適用できない。それ以外の文章に適用すると、元とは全く違った画面になるだろう。フォントいじり系サイトの管理人はこれでは納得しない。

で、 class をつけて何とかするのも難しい手法だと思う。フォントいじりをしたい人は、驚いたから色を変える場合も愉快だから色を変える場合も、同じ赤色に変えるかもしれない。また、ある日の文章では驚いたことを示す文は紫だったけれども、違う日の文章では太字の緑色かもしれない。それは同じ驚きの中にもわずかなニュアンスの違いがあるからそうしたのか、たまたま気が向いた色に変えたのか、どちらにせよ class をつけてこれらを再現するには莫大な量の class 名を考えなければならない。そして

<span class="purple big italic">

なんて表示結果に基づいた class 名をつけるくらいなら font のままのほうがマシだ。

ゴテゴテのフォントいじりな見掛けでマークアップだけ ISO-HTML というのは萌えるけれども、それの実現には色々つまんないことを考えなくてはいけない。そんなことを考えていくと、折角の ISO-HTML の文章なんだから ISO-HTML らしい見掛けでいきましょうよとも思えてくるから分が悪い。フォントいじりはレガシーなマークアップの中で生まれ育った文化なので、この系統の文章から構造と見掛けを分離させるのは非常に難しくて面倒くさくて意味の無いものだということで。