電車の中で通話していたら切れられて強制下車させられたのを見た

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遅刻していつもより2本遅い電車に乗りかえた。転換クロスシートの4人がけになっているところ(4C)に着席、向かいの窓側(3D)には男性が座っていて、携帯電話でいろんなところに電話をかけていた。なんでも、ストレスで腸が動かないくらいになり退職したので家族やお世話になった人に連絡して回っているらしい。私はかばんからノートパソコンを取り出してPHSにつなげ、低速インターネットを楽しんでいた。

駅間のやや長い区間になったので車掌が車内を巡回し始めた。もっとも車掌室寄りの車両だったので車掌はすぐに私の真横を通り過ぎた。そのまま次の車両へ行くのかと思いきや、向かいで電話をしている人に「車内での通話はご遠慮ください」みたいな注意をした。男性はすぐには通話をやめなかったが、通路を挟んで左奥(5A)に座っていた男性が「そうだやめろ」みたいなことを大声で叫んだので、電話氏はいったん通話を止めた。電話氏が通話をやめても注意氏は引き続き煽っている。電話氏も電話氏で下手に反論を返すので車内に変な空気が流れ出す。電話氏は「じゃあこれはいいんですか」とノートパソコンにPHSをつなげている私を指差してきたが、注意氏はあくまで客室内で通話をしていることについて注意をしているので意に介さない。私は私で話の引き合いに出されても引き続きディスプレイを注視しちょっと口元を緩めながらことの成り行きをTwitterなどで実況し続けており、まったく当事者意識がない。ていうか勝手に当事者にされても困る。

あまりにも注意氏から電話氏への煽りが続くので、電話氏は注意氏の隣(5B)に乗りこみ直接対決を始めた。注意氏は注意氏で「バカ大爆発だな、恥さらしが」みたいなレベルの指摘に終始しているわけで、ストレスで腸の動いていない電話氏には酷だ。そのうち車掌が折り返して戻ってきたので、車掌を含めた3人でつまらない争いが始まり、「降りろ」という注意氏の圧力により電話氏は下車せざるをえなくなってしまった。4A席の人が携帯電話でメールを打っていたのを見て「それやめてもらいたいそうですよ」と言いながら、電話氏は次の駅で下車していった。


注意氏は言葉の上では携帯電話の使用一般について電話氏に注意したようにみえるが、行間を読めばあくまで携帯電話での通話についての注意である。それを拡大解釈して私やメール氏を巻き込むのはよくない。電車内から携帯電話で通話することそのものが社会通念上望ましくないとされているので、注意氏の言葉が足りないことを私やメール氏を巻き込むことで主張しても筋が悪い。いくら、携帯電話から出る電磁波がペースメーカーに悪影響を与えるためにはよほど接近しないといけないんですよみたいな反論をしても分が悪い。車内で喋っていたのは唯一電話氏だけだったのも悪材料だ。

注意氏はイヤフォンを耳につけており、音楽を気持ちよく聴いていたのに電話で退職がどうのという辛気臭い話を聞かされても困るから社会正義を味方に一言言いたかったのかもしれないが、発言があまりにも煽りにすぎるし語彙の方向性が残念すぎる。電話氏が通話を止めて静かになるはずだったのに、注意氏の罵声が取って代わっただけだった。しつこすぎる。電話氏は退職という人生の重大な転換点を迎えて、できるだけ早く関係者と情報共有をしたかったに違いない。そこまで怒られることのようにはみえない。

ただ、ヘタに公共の場で込み入った話をすると、私のような者にコンテンツとして消費されるので、やっぱりやめといたほうがいいかも。

Chisa Youzaka; cc by 4.0;