9時50分
8月に特典で取ったファーストクラスにいよいよ搭乗する日になった。飛行機は11時台に出発だけど、 suite ラウンジをちゃんと体験したいので、10時前に羽田空港に着いた。乗り継ぎに失敗したりしたので計画より遅い。
搭乗券を見せて中に入る。通路で待っていた人にいきなり名前込みで挨拶された。受付からインカムで連絡があったのだろうか。窓側がいいか個室がいいか聞かれて窓側を希望、飲み物はなにがいいか聞かれてビールと返答。おしぼりはどうかと聞かれたのでこれもお願いした。中にはおじさんしかいない。カツオのたたきを食べていたらあとから数人女性も来た。
ビールが来たので、とりあえず F と書かれた航空券を記念に撮った。一般に F というのは F ランク大学などのように最低ランクを連想させるが、こと航空機に限っては最高クラスを意味するのがおもしろい。
窓側を希望したのでつきあたりを左に案内されたが、右に行くとホットミールのコーナーがある。ヌードルバーでカレーをリクエストしたらセルフサービスだった。ヌードルバーは前回に入った普通のラウンジにもある。スクランブルエッグがおいしい。ハーゲンダッツが食べ放題なのはさらにいいが、こういう場に来てまでわざわざハーゲンダッツを食べてていいのかという気がしなくもない。次に suite ラウンジに来れる機会があるなら、夜ご飯を食べられるような深夜便に乗りたい。
11時10分
いよいよ搭乗の時間となった。ビジネスクラスの列を押しのけてさっさと中に入れるのはかなりいい体験だ。こういう原価がほぼ0なのになんかすごい感を提供できるサービスがある産業はおいしいと思う。
これからヒースロー空港までお世話になる座席
アホみたいにファーストクラス席の写真を撮りまくっていたら、CAさんにお撮りしましょうかと言われてしまった。完全に一見の扱いで恥ずかしい。しかし旅の恥はかき捨てということもあるし、今回はじめて乗っているので他の客と態度が異なるのは当たり前だ。もっとも、この便のファーストクラスには他に1人しか乗客がいなくて、今日は専属のCAのほうが多い。
窓側にはヘッドフォンや色々なセットが置かれていた。中身は歯ブラシやザ・ギンザの乳液などだった。それはいいけど、窓が遠いのはちょっと残念か。もっとも、ファーストクラスに乗るような人間がいちいち窓の外を気にするとは思えない。
足元はこんな感じで広々している。ここに置かれていたパジャマ類は、離陸のときに当然吹っ飛んでいった。普通はスーツで搭乗して離陸前にトイレでこれに着替えるので問題ないのらしい。
チーフパーサーの方からの挨拶があって、ウェルカムドリンクでシャンパンがいいかオレンジジュースがいいか聞かれた。オレンジジュースのほうがおいしいが普段いつでも飲める。シャンパンのほうが高いしなかなか飲む機会がない。シャンパンにした。
ディスプレイもでかい。このディスプレイにはエコノミークラス席を使った非常用設備案内が流された。ファーストクラス席に座ってエコノミークラスの座席イメージを鑑賞すると、やや不健全な成分を含む独特の感情が湧き上がってくる。あれは本当に人間が座る座席なのだろうか。贅沢に慣れてはいけないと改めて思う。
11時40分
定刻通りタキシングが始まって、15分後にC滑走路から北向きに離陸した。6分後にベルト着用サインが消灯、12時10分に食事メニューが配られた。
こういうやったら長い料理名を普段食べている人たちは、既望の料理をどうやって伝えているのだろう。もっとも説明力の高い1単語を選択する訓練を普段から積んでいるのだろう。
アペタイザーは「キャビア」「カニとアボカドのサラダ」「京鴨生ハム」の3つからの選択だ。ここはキャビアでしょう。メインディッシュは、「仔牛のソテー」「舌平目」「仔鳩のロースト」で、魚と肉では肉が良い。鳩と牛とではどちらも捨てがたいが、トリュフと焼きチャイニーズヌードルでは前者に軍配が上がる。ということで「ソフトスモークの帆立貝とキャビア カリフラワーのピューレとサワークリームで」と「仔牛フィレ肉のソテー 平茸のブレゼに越後シャルドネワインソース トリュフとバジルの香り」を指差して「これとこれで」と頼んだ。指示代名詞は数ある品詞の中でも特別に有能なものといえる。
前菜のあとでテーブルクロスが敷かれてパンが来た。メニューには「蒜山ジャージーバターもしくはオリーブオイルとともに」とあるが両方置かれている。
ソフトスモークの帆立貝とキャビア
ガーデンサラダ
メインディッシュに選んだ仔牛フィレ肉のソテー
デザート。洋梨とラズベリーのアイスクリーム
プティフール
No.6 という日本酒があったので頼んでみて、飲みながらマッドマックスを見た。
14時15分
空いている隣の席にベッドメイクしてくれた。「いつでもこちらでお休みになれます」と言われたけど、この飛行機は現地時間ベースで考えれば11時発16時着なので、寝てしまうとその後に悪影響がありそうだ。
機内Wi-Fiが 15分 or 10MB 無料とのことで、ためしに使ってみた。
機内WiFiが15分無料らしいのでとりあえず繋いでみた
— ヨウザカオオコノハズク (@youzaka) 2015年10月21日
しかしあっという間に使い切ってしまう。
厳しい pic.twitter.com/hd6hrvLnoR
— ヨウザカオオコノハズク (@youzaka) 2015年10月21日
別のメールアドレスでアカウントを作ってみたが、15分無料ボタンが復活することはなかった。フルフライトプランというのもあるが、その名に反して100MBが上限となっている。あっという間に10MB使い切ってしまったので、お金を出してまでその権利を得る必要はないだろう。
ファーストクラスは8席しかないが、専用のトイレが2つあり中も広い。
19時32分
後ろの人がラーメンを食べて美味しそうな音が聞こえてくるので、クロックムッシュとボルシチを頼んでみた。ボルシチは食べ物なんですよ〜
食べながら地図を出してみたら、もうウラル山脈を超えていた。
22時22分
フルーツを勧められたので、食べることにした。飲み物はカモミールティー。フォークとナイフを添えられたが、みかんもフォークとナイフで食べるのだろうか。マナーはよくわからないが手でむくのが最善だ。太陽を追いかけて延々昼が続いたこの旅行もあと1時間で終わりかと思うと寂しい。デンマークのあたりを飛んでいるが、雲ばかりで下は見えない。
23時37分
南向きになって右の窓から日光が差し込んできた。滑走路待ちなのだろうか、上空で何周かした。いよいよ空港かと思いきや今度はS字移動となった。なんとなく不安になる。
23時47分
いよいよ着陸態勢となって、あとはスムーズに日本時間の0時ちょうど、たぶん27Lに着陸した。10分ほどタキシングをして、いよいよドアが開いた。体内時計は24時だが、ロンドンは今16時だ。いつも夜更かし気味の生活をしていても強制的に早寝早起きの規則正しいペースに移行できる。機内で寝てたら却って変なペースになってしまうところだった。